『鋼の錬金術師』 全27巻完結
- 作者:荒川弘
- 掲載誌:月刊少年ガンガン
- 掲載期間:2001年8月号 - 2010年7月号
- 全27巻(108話)
- 受賞:第49回(2004年)小学館漫画賞・少年向け部門、第15回(2011年)手塚治虫文化賞・新生賞、第42回(2011年)星雲賞・コミック部門
兄・エドワード・エルリック、弟・アルフォンス。2人の若き天才錬金術師は、幼いころ、病気で失った母を甦らせるため禁断の人体錬成を試みる。しかしその代償はあまりにも高すぎた…。錬成は失敗、エドワードはみずからの左足と、ただ一人の肉親・アルフォンスを失ってしまう。かけがえのない弟をこの世に呼び戻すため、エドワードは自身の右腕を代価とすることで、弟の魂を錬成し、鎧に定着させることに成功。そして兄弟は、すべてを取り戻すための長い旅に出る…。
コメント:ガンガンだから子供向けでしょ、と思うなかれ。種村季弘を思わせるような暗黒の中世観をモチーフに、命や、生きるとはいかなるモードであるのかといったハイデガーの存在論哲学にもつながるようなテーマが描き出されてゆきます。とはいえストーリーは軽快なので小難しく考えることなく楽しめ、それでいて深い印象を残す名作です。